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刑事実務基礎

平成28年予備試験 刑事実務基礎

答案例

設問1
1 殺意とは殺人の故意を指す。故意とは構成要件的事実の認識認容である。
2
(1)
ア Aが拳銃を売ったのは人を殺すためではなく、脅すためであった。
イ よって、人の死亡の結果を認容していない。
(2) また、Aが拳銃と撃ったのは自己や組に関する悪口を言われたためである。悪口を言われて人を殺そうと思うことは通常考えにくい。
(3)
ア さらに、Aは撃つときは目を閉じていた。目を閉じれば相手のどこにあたるか、又はそもそもあたるかがわからない。殺すことを意図していれば目を開けて人体の枢要部を狙うのが通常である。
イ よって、殺人の実行行為を認識していない。
3 以上より、殺人構成要件的事実の認識認容がないので、殺意は認められない。
設問2
1 (1)
(1) 現場供述でないと答える。
(2) アイはいずれも現場指示である。すなわち、犯行現場状況を再現する際に、捜査員が配置されるきっかけにすぎない。
(3) よって、証拠③の伝聞性は問題とならない。
2 (2)
(1) 刑訴法321条3項に基づき、供述者である捜査員の証人尋問を請求する。
(2) 同項は検証に関するものである。実況見分調書は専門技術的に作成されるので、恣意が入る恐れが小さい。また、証言より書面にて提出したほうが正確でわかりやすい。この趣旨は検証と同一である。
(3) よって、検証に準じて取り扱うことができると解する。
設問3
1 316条の22第1項に基づき、速やかに変更する主張を明らかにする。
2
(1) そして、証明予定事実を立証するための証拠の調べの請求をする(同条2項)。
(2) 本件ではCの証人尋問を請求する。
3 また、は証拠⑫の開示請求をする(316条の22第5項、316条の20)。
設問4
1 (1)
(1) ⑪に記載の日付及び住所と、犯行のそれが同じである。また、犯行現場周辺に似た地図がある。そこで、⑪は犯行計画メモであると推認できる。
(2) また、ACの写真があり、A宅で発見されているので、Aがメモを管理していたと推認できる。
(3) そして、犯行メモの通りの犯罪が行われている。
(4) 以上より、A犯行計画メモ通りの犯行を行ったことを推認できる。
(5) そこで、Aの犯人性を推認する。
2 (2)
(1)
ア Aは⑪は自己のものでなく、中身も書いていないと主張している。よって、⑪だけではAが書いたものであることは推認できない。
イ そこで、⑬の存在により、Aが書いたものであることが推認できる。
(2)
ア また、⑪ではいつの時点で書かれたものかはわからない。
イ ⑬の存在により、犯行計画であることが推認され、犯行前に書かれたものであると推認できる。
設問5
1 小問1
(1) 主尋問では原則誘導尋問してはならない(刑事訴訟規則199条3第3項)。
(2) 本件ではAは犯行日時にBの車に乗ったことを否定している。
(3) しかし、検察官主尋問は質問記載の日付に、Bが被告人を車に乗せたことを前提にしている。
(4) よって、許されない誘導尋問である。
(5) 以上より、裁判所は弁護人の意義を認め、検察に質問をかえるよう命令する。
2 小問2
(1) 許される。
(2)
ア 書面の成立について証人を尋問する場合に必要があれば書面を提示できる(規則199条10)。
イ 署名押印部分はCの調書の成立を証明するものである。
ウ また、Cは調書を作成したかを覚えていないと証言した。そこで、「必要があ」る場合といえる。

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