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民事訴訟法

平成13年旧司法試験 民事訴訟法論文第2問

答案例

第1 小問1
1 丙に補助参加の利益が認められるか、「訴訟の結果」及び「利害関係」の意義が問題となる。
(1) 既判力は判決理由中の判断には生じず、当事者間にさえ及ばない。また、補助参加人の地位への影響は事実上のものに過ぎない。よって、「訴訟の結果」とは文言通り判決主文の判断を意味すると解する。また、訴訟の複雑化を防止する必要性に鑑み、「利害関係」とは法律上の利害関係に限られると解する。
(2) これを本件についてみると、
ア 丙は乙の債権者であるから、乙が本件訴訟に敗訴すれば乙のA土地という責任財産が減少する。そのため、本件訴訟の所有権移転登記抹消につき影響をうける。
イ しかし、丙はA土地の担保権者ではなく、一般債権者に過ぎない。よって、丙はA土地につき事実上の利害関係を有するにとどまる。
(3) よって、丙は「訴訟の結果」について「利害関係」を有しない。
2 以上より、丙は補助参加できない。
第2 小問2
1 丁が補助参加した場合、自白した事実を争うことができるか。
(1) そもそも、丁は補助参加できるか。
ア 前述と同様に検討すると、丁は乙からA土地を買い受けたと主張するから、本件訴訟で甲の請求が認容されれば、乙から丁への所有権移転登記ができなくなるという法律上の利害関係を有する。
イ よって、丁は「訴訟の結果」につき「利害関係」有するから、被参加人とする補助参加ができる。
(2) では、丁は自白した事実を争うことができるか。
ア 補助参加人丁の自白の事実を争うという訴訟行為は、被参加人乙の自白という訴訟行為と抵触する。
イ よって、丁のかかる訴訟行為は効力を有しない(45条2項)。
(3) 以上より、丁は争うことができない。
2 丁が独立当事者参加(47条1項)した場合、自白した事実を争うことができるか。
(1) そもそも、丁は独立当事者参加できるか。
ア 丁は乙から丁への所有権移転登記を請求すると考えられ、権利主張参加(同項後段)の可否が問題となる。そして、同項後段の趣旨は参加人が本訴当事者をけん制しつつ、自己の請求をなし、三者間の紛争の合一確定を図る点にある。そのため、権利主張参加が認められるのは本訴請求と参加人請求が論理的に非両立関係にある場合である。そして、かかる非両立関係は請求の趣旨レベルで非両立であれば足りると解する。
イ これを本件についてみると、丁は甲に対してA土地の所有権確認請求、乙に対して所有権移転登記請求をする。そして、不動産の物権変動の対抗要件は登記であるから、これらの請求は趣旨レベルで非両立関係にある。
ウ よって、丁は権利主張参加が認められ、独立当事者参加できる。
(2) そこで、丁は自白した事実を争うことができるか。
ア 独立当事者参加では一人のなした訴訟行為は他の当事者の利益にのみ効力を生じする(47条4項、40条1項)。
イ これを本件についてみると、乙の自白は乙から甲への訴訟行為であるところ、他の一人である丁にとって不利益な訴訟行為である。
ウ よって、乙の自白の効力は生じない。
(3) 以上より丁は争うことはできる。

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