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民事訴訟法

平成21年旧司法試験 民事訴訟法論文第2問

答案例

第1 小問1
1 本件同時審判の申出(41条)(以下、「本件申出」という。)は認められるか。
(1) 本件申出は、YとZが共同被告である本件訴訟において、「控訴審の口頭弁論の終結の時まで」である、第1回口頭弁論期日になされている。また、Yに対する有権代理の主張が認められれば、Zに対する無権代理の主張は認められないから、両請求は「法律上併存し得ない関係にある場合」といえる。
(2) よって、本件申出は認められる。
2 以上より弁論を分離して判決をすることができない(41条1項)。
第2 小問2
1 XY間の訴訟ではZの代理権の有無が争点となっていたと考えられるところ、裁判所は代理権の存在する心証を得ているので、XY間訴訟はXの請求認容判決をすべきである。
2 また、XZ間の訴訟でも代理権の有無が争点となっていたと考えられるところ、無権利代理人の責任追及を受けた者は自己の代理権を抗弁として主張・立証する責任がある。なぜなら、裁判所は当事者が主張していない事実を判決の基礎にできないからである(弁論主義第1テーゼ)。
(1) これを本件についてみると、Zが口頭弁論期日のすべてに欠席しているので、かかる主張をしていない上に、擬制自白(159条3項)が成立する。また、主張共通の原則によりXがかかる主張をしていれば判決の基礎にできるが、Xは代理権の不存在を主張している。
(2) よって、XZ間の訴訟において代理権の存在につき主張・立証がなされていないので、XZ間の訴訟でもXの請求認容判決をすべきとも思える。
3 もっとも、必要的共同訴訟においては共同訴訟人の一人に対する訴訟行為は全員に対して効力を生じる(40条2項)ところ、この規定が適用されないか。
(1) 同時審判の申出は通常訴訟であり、事実上の審判統一を図るものにすぎない。そのため、共同訴訟人の一方に対する訴訟行為は、他方に影響を及ぼさない(共同訴訟人独立の原則、39条)。
(2) よって、XY間で認定された代理権の存在の事実はXZ間で当然に認定されない。
4 以上より、XZ間の訴訟もXの請求認容判決をすべきである。
第3 小問3
1 XY間の訴訟における控訴が、XZ間の訴訟に及び移審するか。
(1) 前述のとおり、共同訴訟人独立の原則が妥当するので、XY間の訴訟が控訴されても、XZ間の訴訟に控訴の効力は及ばない(40条2項不適用)。
(2) よって、移審しない。
2 以上より、YZを共同被控訴人として判決することができない。

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