スポンサーリンク

民事訴訟法

昭和49年旧司法試験 民事訴訟法論文第2問

答案例

第1 小問1
1 本件訴訟は固有必要的共同訴訟か。その判断基準が問題となる。
(1) 固有必要的共同訴訟ではその権利の行使または義務の履行に際して共同訴訟人が共同することが要請されるので、共同訴訟人が全員が揃うことで当事者適格が認められる。そして、民事訴訟は実体法上の権利の実現・処分のプロセスであるから、当事者適格の判断においても実体法上の管理処分権の帰属態様が基準となるはずである。もっとも、当事者適格は訴訟追行権という訴訟上の機能に関わる問題でもある以上、その決定については紛争解決の実効性、訴訟経済等の要請という訴訟政策的判断が必要である。そこで、固有必要的共同訴訟か否かの判断は、実体法上の管理処分権の帰属態様を基準としつつ、訴訟政策的観点からの調整を図るのが妥当であると解する。
(2) これを本件についてみると、
ア 本件土地は原告たる甲乙の共有であるところ、本件訴訟は所有権移転登記を求めているから、共有権に基づく訴えである。そのため、実体法上の管理処分権は共有者全員に帰属する。
イ また、本件訴訟は原告側の共有であるから、共有者全員を把握することは困難ではない。さらに争わない共有者は被告に加えれば足りる。
(3) よって、上記基準に照らすと、共有者全員が揃うことを条件に当事者適格を認めても差し支えない。
2 以上より、本件訴訟は固有必要的共同訴訟である。
第2 小問2
1 本件訴訟は固有必要的共同訴訟か。
(1) 前述の同様の基準で判断する。
(2) これを本件についてみると、
ア 本件土地は被告たる乙丙の共有であるところ、本件訴訟は所有権移転登記を求めており、かかる義務は共有者の不可分債務(民法430条、同436条)である。そのため、実体法上管理処分権は格別に帰属する。
イ また、本件訴訟は被告側の共有であるところ、原告が被告全員を把握することは容易とはいえない。また、争わない者まで被告とするのは訴訟不経済である。
(3) よって、共有者全員が揃わなくても本件訴訟を認めるべきあるから、固有必要的共同訴訟でない。
2 では、類似必要的共同訴訟か。
(1) 類似必要的共同訴訟は当初から訴訟共同が強制されるわけではないが、原始的・後発的に共同訴訟となった場合には合一確定が要請されるものである。
(2) これを本件についてみると、本件訴訟の判決効が共同訴訟人に拡張される関係にない。
(3) よって、類似必要的共同訴訟ではない。
3 以上より必要的共同訴訟ではない。

スポンサーリンク

-民事訴訟法

© 2024 予備試験・司法試験合格ノート